ご丁寧に私の声真似までしてセリフを再現する歌ちゃん。


い、意地悪だっ。


「だってお兄ちゃんにそう言って断りなさいって言われてるんだもん」  


正直にそう言ったけど、ますます墓穴をほることになる。


「ふうん」


「ん?」


「なるほどね、頭の中はお兄様のことでいっぱいってことか千桜は」


「そんなんじゃ……」


図星をつかれたような気がしてギクッとした。


そういえば、いつでも兄のことばかり考えているのは本当だ。


「でも、しょっちゅうお兄ちゃんお兄ちゃんって言ってるじゃん。
世界ブラコンコンテストがあったら優勝できちゃうくらいに」


歌ちゃん、そんなコンテストなんて世界中探してもないと思うよ。


あったとしても出場しませんから。


「まああんな素敵なお兄様だったら、気持ちもわからないでもないけどね」