彼は優しく頷いてにっこり笑う。


お父さん宛に留守電で話したことは、無駄じゃなかった。


まだまだこれから説得するのは大変かもしれないけど、ちゃんときっかけをつくることが出来たんだって思うと嬉しかった。


「ところで、約束ってなに?」


「100個くらいある」


「どんな?」


彼の背後にまわって肩をトントン叩いてあげた。


それから広い背中に思い切りギューって抱きついた。


久々に甘えモード、全面解禁だ。


だってここ最近、翔くんが足りなくて心がからっぽになってしまっていたから。


明日帰ったら、両親たちに大目玉を食らうかもしれない。


悲しい顔をされるかもしれない。


その覚悟はちゃんと出来てる。


だけど、誰も私の気持ちを変えることなんて出来ない。


明日は明日の風が吹く、くよくよ心配してもはじまらない。


だから、今日は思い切り自由に2人きりの時間を楽しみたい。


大好きな彼を今日はたくさん充電するんだ。


「父さん達のだした条件を要約すると……ちゃんと俺たちの話も聞くからそのかわり兄弟のままで家に戻りなさいってことだよ」


彼は苦虫を噛み潰したような顔をしながら言った。


「どういう意味?」