エピローグ


父と電話で長い時間話した後、今度は母からも翔くんに電話がかかってきた。


私は彼氏と泊まるって言ったけど、両親にはすぐに翔くんのことだとわかったみたい。


彼は比較的、冷静に受け答えをしていた。


なにかの約束をさせられていたみたい。


最後に矢代さんからも電話がかかってきた時はさすがにゲンナリしているみたいだった。


ようやく通話を終えると、ぐったりしたように肩を落としていた。


「矢代さんにまで釘を刺されたよ」


「なんて?」


「それは……言えない」


彼は照れ臭そうに天井を見上げる。


「あーあ、結局泊まることはオッケーしてもらえたけど、いろんな約束をさせられたんだよな。全部守れる自信がないよ」


「でも外泊を認めてもらえたんだね」


「かなり条件付きだけどな」


苦笑いする彼。


「一歩前進したのかな?」


「まあね。チーの留守番電話が効いたみたい。
父さん、明日帰ったらちゃんとチーと話し合いたいって言ってくれてたよ」


「ほんとに?」


「ああ」