「じゃあ行くね。作戦の成功を祈ってる。千桜頑張って」


「ありがとう、歌ちゃん」


「一緒に帰れないのは寂しいけど、後でどんなだったか詳細に報告してね」


「うんもちろん」


ニコッと笑って歌ちゃんと目が合うと、どちらからともなく手をとりあった。


「千桜ー」


「歌ちゃーん」


「千桜も絶対お兄さまとうまくいってね。誰に反対されても私は千桜の味方だから」


「うん、うん。ありがとう」


ヒシッと抱き合って別れを惜しんだ。


それから、私だけ部屋にのこったまま彼女を見送った。




歌ちゃんが立ち去った後、私は一人になった部屋で畳の上にお布団を敷いて横になっていた。


頭が痛いって設定なので、冷やしたハンドタオルをおでこの上に乗せて演出。


これでよし。あとは翔くんがやってくるのを待つだけだ。


心臓がドキドキと騒がしい。


上手くできるかな、ちょっと緊張してきちゃった。