「ええと、つまり」


頭をしぼって必死に考えをまとめていた。


「瀬戸じゃなくて伊集院の姓を名乗る準備もしてて」


「伊集院翔になるってことだよね。そしたら……」


「それまでに伊集院家の跡継ぎとして、充分な自信と経済力を持ちたいから今から努力してる」


そこまで将来のビジョンを明確に描いて、そのために準備していたんだ。


「あのそれってもしかして私と結婚するためにってこと?」


「……うん」


彼は照れくさそうに答える。


「あ、そか」


びっくりしてまばたきしていたら、彼は落胆したような顔をする。


「やっぱり、引いてんじゃん」


「ううん、そうじゃなくて」


「だからまだ言うのは早いかなって思ってたんだ。
いずれその時が来たらちゃんとプロポーズするつもりだった」


彼は私の反応に傷ついてるみたい。


「あ、あの、違うの。
あんまりびっくりしすぎて。なんて答えたらいいのかわからなくて」


「そうだよな……別にいいよ。まだ付き合い始めたばかりだし。
これからもっと好きになってもらえるように頑張るから」


そんな……。これ以上彼を好きになったらどうなっちゃうんだろう私。