「歌ちゃん達が仲直りできてよかった」


「うん、瀬戸さんが頑張ったおかげだよ」


「ううん、そんなことないよ。あの2人に一方的に感情移入しちゃってて」


「でも、それがよかったんだよ。瀬戸さんの好きな人ってやっぱりお兄さんのことだよね?」


「う、うん」


「……なんか悔しいな。瀬戸さんにあそこまで言わせちゃうなんて」


彼は眉を寄せて小さくため息をついた。


「……」


さっきのって西原くんもばっちり聞いていたんだよね。


なんだか急に恥ずかしくなってきた。


「悔しいって?どうして?」


「だからさ……」


彼は、何かを言おうとして私の耳もとに顔を近づけた。


その時、旅館の方から海へ向かって並んで歩いてくる男女の姿に目が釘付けになった。


「あ……あれ」


え、どういうこと?


夢でも幻でもないよね?


「翔くん」