「え、ほんと?それなら嬉しい」


歌ちゃんと顔を見合わせてお互いはにかんだように笑った。


「瀬戸さん、心配かけてごめんね。
僕もちゃんと歌さんとよく話し合うから」


「うん、きっとだよ」


「うん約束する。瀬戸さんも彼氏と頑張ってね」


「う、うん」


実は偉そうに自分の話を長々としてしまって、顔から火が出そうなくらい恥ずかしかったけど、にっこり笑ってうなずいた。


途中、かなり熱が入りすぎて余計なことまで言っちゃったかも。


でも少しでも役に立ててたとしたら、本当に嬉しいな。


じゃあって言ってその場から立ち去ろうと腰を上げた。


「瀬戸さん、ゆっくり行こう」


「西原くん、もうだいぶよくなったよ」


西原くんは早足になろうとする私の手を再び握ってきた。


「大丈夫?」


それでも彼はまだ心配そうに見つめてきた。


「うん、平気」


「旅館へ戻ろう、その方がいいよ」


「そうする、1人で大丈夫だから西原くんはこのまま海水浴に行って」


彼の自由時間を無駄にしちゃったら申し訳ないから、1人で宿に戻るつもりだった。


「いや、瀬戸さんに付き添うよ」


「でも悪いよ」


「いいから、いいから」


「ごめんね」


彼はニコニコ笑って私の手を引いて歩く。


結局、2人で一緒に旅館の方へ足を向けることになった。