「あ」


「いいね?」


「う、うん」


有無を言わせない気迫でギュッと手を繋がれた。


強引だったけれど、手を繋いだ方が少し重心が安定した。


自分が思っているよりもずっとフラフラしているみたい。


熱中症の一歩手間なのかもしれない。


ようやくバレ―部の人たちのいるところまでたどり着いた。


男女ともに和気あいあいで、明るい雰囲気だ。


「ビーチバレーやる人いるー?」


リーダーっぽくてガタイのいい男子が声を張り上げる。


もしかしたらバレー部のキャプテンなのかもしれない。それくらいハキハキしている。


「おーやるやる」


「私も」


「じゃあ男女混合な」


バレー部は部活内恋愛禁止だっていう話だけど、ナチュラルにみんな仲がいいように見えた。


少し離れたパラソルが立ててあるレジャーシートにはたくさんの荷物が置かれていた。


歌ちゃんと石野くんはそこに腰かけている。


ただしお互いに下を向いていて、異様な空気が漂っていた。


「あれって……」


「お、歌ちゃんがパラソルのとこにいるじゃん。日陰だしちょうどいいから入れてもらおう」


「でもなんだか雰囲気が……」


明るく開放的なビーチとは対照的にそのパラソルの下はどんよりしている。