今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。

「ずるいな、瀬戸さんは」


「どうして?」


「少しは俺のことを意識してくれてるのかなって期待させるから」


「うーん、ごめんそれはないや」


西原くんといると楽しいけど、彼は私にとっては友達なんだ。


気を持たせるようなことはしたくない。


だけどあんまりズバッと言ってしまったから怒ったかなって気になり、そっと見つめ返した。


「まあ、そんなのわかってるけどさ」


彼は手持ち無沙汰のようにシャーペンをクルクルと回している。


「どうせ、俺はただの友達なんだろーけど」


ケロっとしてて気にしていなさそうに見える。


「だけど、瀬戸さんが元気がないと気になっちゃうんだよな。もっと、お兄さんとうまくいっててくれたら諦めもつくんだけど」


「そんなこと言われても」


「やっぱいろいろ大変?」