今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。

「いや俺が待ちたいから。瀬戸さんの可愛い顔を眺めながら食べたらきっとメシが何倍もうまい」


「よく言うよ」


正直言うと西原くんとの軽いやりとりで心がなごんでいた。


引きこもって兄の帰りを待っていた日々よりもずっと楽しい気分になれたから。


「じゃあ早く終わらせるね」


「いいよ、ゆっくりで」


「でも」


「その方がずっと見ていられるから」


彼はまっすぐこちらを見つめてにっこり笑っている。


ううっ……。


そんなに直視されてると恥ずかしくて集中できないんだけどな。


西原くんはクラスでも人気のイケメンだし、意味深な目線を送られるとドキッとしてしまう。


「西原くんも何か勉強しててよ。じっと見ていられたら緊張するから」


照れ笑いしながら言うと、彼は小さくため息を吐く。