今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。

「なーんてね、一瞬熱くなったりして」


重くなりかけた空気は彼の明るい声にかき消されたので少しホッとした。


「西原くんたら」


「とにかくちゃんとメシは食わないとダメだよ。男はぽっちゃりした女が好きなんだから」


「なにそれー?知らないし」


「この合宿中に瀬戸さんをもっと太らせないとな」


彼はニコニコ明るく笑う。


「だからプリント手伝ってあげる。早く終わらせてメシ食いにいこう」


「でも悪いよ、そんなの」


ありがたいけど、そんなことをしたら彼に迷惑をかけてしまいそう。


「いーから、いーから」


だけど彼はその後も解答を写させてくれた。


正直、苦手な理科と数学はかなり助かった。


「ありがとう、他は自分でやるね」


「うんじゃあ終わるまで待ってるよ」


「いいのに、待たなくても。先に食べてきて」