今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。

ずっと不安だったことを口にしてしまったら、胸の奥がチクッと痛む。


あんなに恐れていたのに。
家族の形が壊れるのが怖いって思っていたはずなのに。


だけど、もうどんどん膨らんでいく気持ちを抑えられない。


私は兄が……翔くんが好き。


異性として好きなの。


自分の気持ちに気が付いちゃったから、もう元の関係には戻れない。


「親達には俺から話すから」


「待って、まだ話さなくてもいいよ」


「でも」


「しばらくは黙っていようよ」


彼は不服そうだったけど、私には今すぐに両親に話すことなんてとても考えられない。


まだそこまでのゆるぎない覚悟がないって言うのが本音で。


「お願い」


「わかったよ。だけど親のことは心配しなくていいから。
だから俺の彼女になって」


「えっ。か、彼女って……いきなりそれは」


彼女って単語に違和感しか感じられなくて凄く照れてしまった。