今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。

やだ変な声でちゃった。恥ずかしくて死にそう。


「翔くん?あの」


彼が私の唇のあたりに視線を注いでいることに気がついてドキッとした。


唇を両手で隠そうとしたら、腕をつかまれて阻止された。


息が少しだけ荒くなって涙目になってしまう。


「翔くん」


「嫌?」


うんって首を縦に振りダメだよってアピールした。


本当は嫌じゃない、だけど……。


こんなところに私を閉じ込めて、逃げられないように覆い被さって、こんなにもドキドキさせて。


少しづつ追い詰めて私がいいよって言うのを待っているみたい。


まるで共犯になるのを望んでいるみたいに。


「も……やめないと」


「わかった、でもひとつだけ聞きたいことがある。正直に答えて」


「何を?」


「俺のこと好き?」


彼の真剣な眼差しに胸が高鳴った。
その瞬間、もう逃げられないって思った。


彼からも自分の心からも、もう逃げ場なんてどこにもない。

 
「好きだよ」


勝手に口からこぼれ落ちていた言葉。


いつもの明るく軽い調子じゃなくて。


胸を焦がすような、切実な告白。