「どうかしたの?」


「あ、いやお兄さんに挨拶してから帰ろうかなと思って」


「ああ、翔くんは出かけてるはずだからまだ帰っていないと思うよ」


スマホの時計を見たら16時を過ぎたところだったしまだ帰ってはいないだろうと思った。


「そっか、じゃあ俺これで帰るよ。お兄さんによろしくね」


西原くんはホッとしたような顔をして、そそくさと立ち去ろうとする。


よっぽどさっきの兄の怒り具合がトラウマになっているのかも。


やっぱりちょっと申し訳ない。


「うん、ありがとう。また学校でね」


「おう、またね」


爽やかに笑って手を振る彼を見送った。


彼は私が見ていることに気がついて何度も振り返って手を振ってくれていた。