私のことを待っていてくれた歌ちゃんに声をかけたら、彼女は首を横に振った。


「ううん、私は行ってくるよ」


よくよく聞いてみると、歌ちゃんは同じバレー部の男子がいてその人と2人で食事をして帰るんだそう。


石野くんといって長身の歌ちゃんよりも少し背の低いおとなしそうな男子で、今日ずっと彼女の隣にいた人だ。


「え、もしかして歌ちゃん……？」


恋の予感がしてニヤニヤしながら尋ねてみたら、そんなんじゃないよって笑って否定された。


「あいつ美味しいお店知ってるし奢ってくれるらしいから」


「え、そうなんだ」


色気より食い気の歌ちゃん、まさか食べ物につられている？


大丈夫なんだろうかと一瞬不安がよぎったけれど。


「歌さん、行こう」


石野くんがニコニコしながら歌ちゃんに近づいてきた。


よく見たら優しそうな雰囲気で瞳がキラキラした可愛らしいタイプの男子。