「はあ、ビビった。どうなることかと思ったよ」


最寄りの駅までの5分間西原くんはずっと青ざめて黙っていたけれど、駅に着いてようやくホッとしたように口を開いた。


「瀬戸さんのお兄さんすげー怖かった。俺もう命はないかと思った」


ブルッと身体を震わせて胸に手をやる彼。


「そんなあ、大袈裟だよ」


「いやあの目は絶対、殺意があった」


「……」


うーん、あながち的外れでもなかったりして。


「ごめんね」


さすがに申し訳なくて謝った。


「いや俺の方こそごめん。勝手に迎えに来ちゃったから」


「ううん」


「それにしても瀬戸さんってマジでお兄さんに愛されてるよね」


なんだか顔がポポっと熱くなるのを感じた。


確か、西原くんは私と兄が血が繋がらない兄妹だってことを知っているはず。


いつだったか、歌ちゃんと私の会話を聞かれていたから。