「翔くん、ひどいよ」


「ああ、ごめん」


謝ってはみたものの何に対してかは自分でもわからない。


「私、あの日から頭の中がぐちゃぐちゃなんだから」


彼女のか細い肩が震えている。


「こんなになっちゃったのは全部翔くんのせい」


だけど責めている風には全然聞こえなくて。


むしろ助けを求めているような、答えを探しているような感じだった。


「うん」


「これから、どうしたらいいのかわからないよ」


「ごめん」


「謝るとか、ズルい」


「うん」


天井をあおいで大きく息を吐いた。


「そんな顔するのもズルい」


「どんな顔?」


「か、悲しそうな顔」


そう言って恥ずかしそうに頬を赤らめる。


「どうして……てくれ……いの」


彼女の声が小さかったから聞こえなくて耳を近づけた。


「ん?」


彼女の頬は赤く、ぼんやりとした表情も凄く可愛くてドキッとした。