義妹だからってこんな風に彼女の言うことを聞いてあげてるんだ。


「お兄ちゃん、中庭のベンチで食べよう」


「ああいいよ。チーも一緒にどう？」


彼は私に向き直り誘ってくれたけど、当然行きたくない。


「ううん、私はいいよ」


兄の誘いを断ってフイッと顔をそらした。


「チー？どうした？」


「なんでもない」


私って心が狭いんだろうか。


せっかく兄と話していたところを中断させられたことや、目の前で彼に甘える愛華さんを見ていたらまた嫌な気分になってきて。


心の中が墨で塗られたみたいに黒く染まっていくみたい。


「おにいちゃん早く」


チラッと振り返ったら愛華さんが彼を引っ張って行こうとしてる。


「待って、ちょっとチーと話を」


「そんなのいいから」


「いやでも……」


ためらっている彼を強引に連れて行こうとしてる愛華さん。


私はギュッとスカートを握りしめて唇をかんだ。