「はあっ」


「15回目」


「へ?」


「ため息の回数」


歌ちゃんのドアップが視界一杯に入ってきてギョッとした。


お昼の休み時間、私は教科書も片付けないで物思いにふけっていたみたい。


「どうかしたの?」


「ううん、なんでもない」


「もしかしてもう一人の妹のこと?」


歌ちゃんは心配そうに尋ねてきた。


「え?」


「このあいだ愚痴ってたでしょ?自分以外にも妹がいて嫌味な子だったって」


「う、うん」


確かにそれも憂鬱なんだけど、もっと悩んでることがあって朝からため息が止まらなかった。


今朝も兄の前にいるだけで緊張してしまって目が合わせられなくて。


胸がドキドキして顔が赤くなっていることも悟られたくなかった。


自分でもまだ混乱しててどんな顔をしたらいいのかわからない。


だから、素っ気ない態度をとってしまったんだ。