今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。

瞳を不安そうにさまよわせる彼。


「手を?」


「うん、ちょっと落ちつきたくて」


今、落ちつかない気分なのかな?


そっと手を差し出したら、思ったよりも強く握られた。


その手は熱くて彼の緊張が伝わってくるような気がした。


そして意を決したように真っ直ぐにみつめられたから胸がドキッとはねた。


「チー、俺ずっと前から」


真剣な表情がいつにも増してカッコいい。


「チーが好きなんだ」


「あ、うん私も好きだよ」


あっさりと反射的に答えていた。


普段から大好きって言っているからなんの迷いもない。


だけど彼は困ったように眉を下げてハーッとため息をついた。


「いや、そういう軽いのじゃなくてさ、俺のはもっと」


「え、軽くなんてないよ」


「軽くないかもしれないけど、そういう意味じゃなくて」


「大好き……だけど」


この時ハッと気がついてしまった。
この言葉は今の彼に軽々しく使っていいものじゃないのかも。