彼女に勝ったような気がして一瞬心がはずんだ。


「チーを一人で満員電車には乗せられないよ」


「だけど、翔くん……」


「心配なんだ、電車なんか1人で乗って痴漢がいたらどうするんだ。
いや、ナンパもあるかもしれない。
こんなに可愛いんだからほっとけないよ」


「やだ、またそんなこと言って」


兄が過保護モード全快で言うものだから恥ずかしい。


本人はいたって本気みたいだけど、他の人が聞いたら絶対笑われちゃうよ。


「とにかく俺も一緒にいくから」


「でもでも」


「だったら3人で車に乗ればいいじゃない」


私と翔くんの会話に愛華さんがいら立ったように割って入ってきた。


「あなたも一緒でもいいわよ」


私に向かってマウントを取るようにそう言ってきた。


本当は嫌だけどお兄ちゃんと一緒に行けなくなるのは困るから仕方なくあなたも誘ってあげるって態度に見えた。