月下美人に逢いに行く

絶対に忘れてなんかやるものか。




そしてのそのそと携帯を起きベットから出ると、君がくれた最初の花、月下美人を片手で握りつぶし、綺麗な月が見えるベランダから放り投げた。



力強くもなく無気力でもなく。




ただ君を忘れたくない、忘れてやるものか。



そう強い気持ちを抱きながら。



俺の心の中にも咲いていた月下美人ははかなく花は散り落ち、無様にも綺麗とは言えないようだった。




それから俺は崩れ落ち、膝をつき、たった一筋だけ涙を流した。その涙は月の光に照らされ、青く、白く光っていた。




そしてその月下美人を追うようにベランダから儚い君を思い出させる月を目指し飛び出した。




最後に見えたのは隣の君の家の庭に咲く枯れているのと綺麗に咲いている、アネモネの花2輪だった。