体がダルい。

吐き出す息が妙に熱くて、呼吸のあとに熱が残る。


誰かに抱えられて運ばれているのはわかるけど、目を開けても視界がぼやけてよく見えない。


しんどさに耐えられなくてまた目を閉じたら、ふわりと柔らかな場所に下ろされた。



布団の上かな、温かい。

私、帰ってきたのかもしれない。



御影さんのところに、


六畳一間のあの部屋に、


いつ帰ってきたんだっけ。




「御、影……さん?」

「ん?」



手を伸ばすと、優しく握り返される。

ハアハア苦しい息遣いは思考ごと奪って、今は難しいことなんてひとつも考えられそうにない。



「……熱くて、死んじゃ、う」

「布団、かけないほうがいい?」

「う、ん……」



体の上から重いものが消えて、少しだけ楽になる。

だけどダルさと息苦しさは全然、消えてはくれない。



「熱、かなり高いね。雨に濡れたからかな」

「ん……」

「シャツのボタン、少し外すけどいい?」

「ぅ、ん、…」