幸いなことに睡魔は全然感じない。
露わになった肌を辿る御影さんの手と唇に、意識はしっかり集中している。
触れられている太ももの内側がどんどん熱くなっているのだって、ちゃんと感じられる。
舌が触れる胸の先も、絡み合うように握り合う指先同士も。
もう全部が敏感すぎて……
こんなんじゃ眠ることなんて、願ったって叶わない。
「みのり……力抜いて」
「どこ、の」
「全部。このままだと多分痛い思いさせる」
「ぅ、ん…………んぅ、」
御影さんが体重をかけてくる。
余裕なんてなくて、私はただされるがままなのに。
それなのに。
肌と肌が触れ合うときに見えた御影さんの表情も、同じくらい余裕がない気がして……
それが私の脳内を、一層麻痺させていく。
だって、御影さんのこんな顔初めて見るから。
苦しそうで切なそうで、熱い息を吐き出す汗ばんだ表情……
『煽る顔』
私から言わせれば、それは絶対に御影さんのほうだよ。
「っ……みのり」
「、…」
甘く震えるような声に、心が縋ってしまう。
もっと呼んで、
もっと抱きしめて、
もっとたくさんキスをして、
私のことを、好きって言って……
「御影、さ……っ」
私はもう、
こんなにもあなたに恋をしているから───


