「……普通の部屋だ!」



カードキーで中に入り廊下を抜けると、ごく普通の、けれどそれなりに広いワンルームが出迎えてくれた。


ホワイトターミナルの最上階が物珍しくて、あれこれ見物してしまう。



「どうしてここに住まないんですか? 六畳一間よりよっぽど快適そうなのに」

「別に、あっちのほうが落ち着くだけ」

「……変なの」

「うっせ。まあ気に入ったなら、好きなとき来れば」

「えっ」



ほら、と差し出されたものを受け取れば、この部屋のカードキーだ。



「来て、いいんですか?」

「何かあったときは隠れ家になるからな。ここなら白夜のやつらしかいないし安全だろ」

「そっか、ありがとうございます」



どんな理由であれ、合鍵をもらえたことが嬉しい。

『特別』に、また一歩近づけた気がするから。




「みのり」



名前を呼ばれて顔を上げるより早く、ほっぺに御影さんの手が触れて鼓動が跳ねる。

視線を上げた先の青い目が、私の心を射抜くみたいにじっと見つめてきて……




「みのりが寝落ちする前に、今日はもっと触りたい」