御影さんのことをもっと知りたいから、とは、照れくさくて言えない。

だけどこれくらいなら。



「その……興味が、あって」

「……」



御影さんは読んでいた教科書を適当に放って、何も言わずにじりじり迫ってくる。


だから私は、狭い部屋の中、座ったまま後退る。



ていうか、学校行きだした途端に家で教科書読むって、何それ。


本当に優等生みたいじゃん。



ううん、『みたい』じゃなくて。


総長になる前はきっとこれが普通で、本当の本当に王子様だったんだ。


王子様の……本当の御影さんのことも、もっと知りたい。



「丁度明日会合あるから、今から行って今日はそこに泊まるか」

「いいんですか!」

「なんで驚くんだよ。お前が行きたいって言ったんだろ」

「そうだけど」



だって銀くんが、特別な人しか入れないと思うって言ってたから。


やっぱり少しは特別って、自惚れてもいいのかなって。


そう思ったら、嬉しいに決まってる。