「わかるのは、その怪我の理由くらいだ」
「理由……教えてください、私、どうしてこんな状況になったんですかっ」
理由を知れば、記憶が戻るかもしれない。
私は居ても立っても居られなくなり、
この男が誰なのかなんて二の次で話の続きを求めた。
「あんたがあいつらの秘密を知ったからだよ」
「あいつら? 秘密?」
「とある組織の、極秘情報」
組織の極秘情報、って……なに、FBIでも絡んでるの?
なんて。
あり得ないことを敢えて想像でもしなきゃ、次の瞬間にでも一気にパニックに陥りそうだ。
「あんたが怪我をしたのは、俺らがシマ争いしてる『鬼炎魔』の秘密を知ったから」
「き、えん、ま?」
「で、あの日俺が駆けつけたら、あんたは丁度階段から落ちるとこだった」
「私、階段から落ちたんですか……?」


