……夜、六畳一間の奥にある狭い台所で包丁を握る。


お世話になりっぱなしでは申し訳ないから、今夜は料理を振舞う計画だ。


お金は、お財布の中にあったキャッシュカードにたくさん入っていた。


恐らく親からの遺産というやつだから、有難く使わせてもらうつもりだったけど。


私を一人で買い物に行かせるわけにはいかないって、御影さんもついて来たスーパーで……結局、レジでお金を払ってくれた。



「なに作ってくれんの?」

「えーと、ハンバーグを」

「お、まじか。俺の好物」

「え、ほんとですか、やった!」



好物をチョイスするなんてすごい偶然!なんて思ったけど、ハンバーグが好きって人はごまんといるはず。


浮かれるのはやめて、早速料理を開始した。