眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす




「僕はただの高校生だよ。あ、違うか、暴走族(・・・)の高校生だよ」

「……」

「家族は、いわゆる華道の家元だけど」

「華道!?」



顔色一つ変えずに、銀くんはサラッと口にした。



「えと、なんか漫画とかで見たことある。すっごい格式ある感じで、お坊ちゃまみたいな……?」

「うん、そんな感じ」



曖昧にしか想像できないけど、言われてみると確かに。


穏やかな物腰の中にある気品は、そういうことだったんだ。



「家のほうは双子の弟が継ぐみたいだから。僕は必要ないみたい」

「……銀くん、双子だったんだ」

「うん、実はね」

「必要とされなかったから……それで暴走族に?」

「その辺は成り行きだけど、結果的にはそうかな」

「そのこと、御影さんは知ってるの?」

「知らないよ。御影くんも、リクも。話したのはみのりちゃんが初めて」

「そう、なんだ……」



御影さんは、銀くんに色々なことを話してきたはずなのに。


一方には秘密があるのって、ちょっと悲しい気がする。