「あの、学校休みすぎたら、勉強についていけなくなったりしませんか……?」
「問題ねーよ。俺、成績優秀だし」
「暴走族なのに?」
「それ、偏見だからな」
ふ、っと自然に笑うその顔は、驚くほどキレイな、でもやっぱり普通の男子高校生の顔。
とてもじゃないけれど暴走族……ましてや総長になんて、到底見えない。
───『記憶がないからこそ、今はこの男の言葉に縋すがるしかない』
昨日はそんな風に思ってたけど。
私を助けてくれたのがこの人でよかった。
暴走族の総長相手に、少しずつそんな気持ちが芽生え始めている気がするのは。
御影さんの笑う顔が、すごく身近に感じたから……なのかな。