眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす




「裏切る気起こしたらどうなるわかるよなあ?」

「もちろんです。帰る場所がなくて死にかけてたとき、拾ってくれた恩は絶対に返します。鬼炎魔を抜けるつもりも裏切るつもりも一切ありません」



言い切った銀くんの目は、本気だ。


彼の幸せは二の次で、恩人への忠義を果たすことだけに生きている。


それが伝わってきた。



「なら、やれ」

「え……」



銀くんの元へ足音を響かせ、藤堂リュージが手渡したのは……




うそ、……拳銃……?




「ま、待ってくださいリュージさん、さすがにこれは……」

「アア!? そいつらとっとと始末しろっつってんだろーが!!」

「、…」



白夜の会合で聞いたどの怒声よりも迫力ある声に、身の毛がよだつ。


ベッドの上、私を背に隠してくれた御影さんにしがみつくけど……


このままじゃ御影さんが撃たれてしまう。



だけどこんな状況、どうすればいいのかわからない。



恐怖に震えるしか、私にはできないよ……