眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす




……誰?



見覚えのない釣り目の男が、部屋の中に入って来る。



「リュージさん、」



銀くんが慌てて頭を下げたのを見て、この男が鬼炎魔の総長だと知った。


藤堂、リュージ……



「おい銀、テメエなに拘束解かせてんだよ。クソが」

「す、すみませんっ」

「まさかこいつらに情が移ったんじゃねぇだろうな」

「いえ、まさか……」



藤堂リュージが銀くんを見る目は、寒気がするほど冷たい。


人の瞳とは思えない、光の無さ。


こんな目で、1度でも御影さんは部下を見ていたことがあっただろうか。



銀くんは御影さんの傍に……白夜にいたほうが絶対救われる。



私でさえ、すぐに確信が持てた。