眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす




「俺はこの世界が嫌なわけじゃねーよ」

「……え?」

「救えるガキがいるなら救ってやりたいし、そのために必要な場所が白夜だってんなら大事にしたい」

「、…」

「普通の世界に戻りたがってるだ? そんなのは銀の勝手な妄想だ。この世界も黒いばかりじゃない、そういう意味を込めて白をつけただけだ」



私の体を支えながら、御影さんの視線が銀くんに向かった。



「俺は部下を見放すつもりも見捨てるつもりもない。銀、お前もその1人だ」

「……!」



銀くんの心が、一瞬確かに揺れたのがわかった。


だけど、そのとき───



「───久しぶりだなあ、剣崎御影」



後方のドアから、いやに愉し気なその声は響いた。