眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす




「一応言っとく。騙しててごめんね、僕鬼炎魔の人間なんだ」

「は、謝罪とかいらねー。みのりだけ返せ」

「まだ話は終わってないし、終わっても返すわけにはいかないかな」

「知るか。ダメってんなら奪うだけだ」

「できないよ、御影くんには」

「あ?」



私に跨ったまま、銀くんはポケットに手を忍ばせて……


鋭く光るナイフを取り出し、私の首元に当てた。



うそ……



「御影くんをトップから引きずり下ろすまで、みのりちゃんには人質になってもらわないと。それに僕、みのりちゃんのことが好きなんだよね。だからこのまま一緒にいてもらう」

「……チッ」



親友だった2人の間に、ひどく冷たい空気が流れる。


2人を兄弟のように慕っているリクくんが、ここにいなくてよかった。


それだけがせめてもの救いだって、
ナイフを突きつけられる中、恐怖以外にそんなことを唯一思った。



「みのりちゃん、話の続きをしようか」

「おい、」

「御影くん、そこから一歩でも動いてみなよ。みのりちゃんがどうなっても知らないから」

「……」



私の上に跨ったまま、銀くんはあざ笑うように御影さんを見ている。


その視線が、ゆっくり私に移動して……