眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす




妹が……階段から落ちて記憶喪失?



それって───




「僕が鬼炎魔の人間だっていう“秘密”を、まだ御影くんに知られるわけにはいかなかったから。みのりちゃんの記憶が戻らないうちは、スパイを続行することにした」

「、…」

「それからはずっと隙を狙ってたんだ。御影くんをトップから引きずり下ろす隙をね」

「…、っ」



じゃあ、私の記憶が握っていたのは……


『銀くんが鬼炎魔の人間』という秘密?



「『彼女は鬼炎魔の秘密を知ったせいで連中に拘束されかけて、抵抗して階段から落ちた』。あの日、駆け付けた御影くんに僕はそう伝えた。白夜の一員として居合わせたふりをしてね」

「、…」

「ほんとは人質にさらわれただけなのに、疑うこともなく僕の言葉を信じたよ。まあみのりちゃんは結果的に秘密を知ったわけだから、全部が嘘ってわけでもないけど」



……意味がわからない。


だって銀くんの言い方じゃ、まるで……



まるで私が、御影さんの妹みたい。