暴走族の総長なんて、恐怖の対象でしかないはずなのに。
自分がどこの誰かもわからない状況の中、
今はこの男の温もりと気持ちよさそうな寝息に、僅かでも救われている気がするなんて……
だって私の頭の中は今、この男とのこの数分の記憶しかない。
数分といえど、記憶ができたことでさっきよりずっと恐怖心は薄れているから。
そういえば男の名前、聞きそびれちゃったな。
歳は何歳なんだろう。
どうして私のこと、匿ってくれてるんだろう。
鬼炎魔?とかいう敵組織の秘密を知りたいから?
そのために私を匿って、記憶が戻るのを待つってことなのかな。
もっともっと色んなことを考えたいのに、
男の腕の中で気づけば眠りに落ちていて……
どうしてだろう。
温かいこの場所が、少し懐かしい気がするのは……


