30秒を切って、辺りが賑わう。
広場の全員が、声を合わせる準備をしている空気だ。
『15、14、13、12、』
目の前にいる女の子が、声をあげてカウントダウンを始めた。
こうなったら、私1人でも叫んでやる。
そう決めて、心の中でカウントダウンに参加する。
『5、4、3、』
2、1───
「「「メリークリスマース!!!」」」
広場中に響いた声。
鳴り止まないジングルベル。
……の、中で。
一言も声を出せなかったのは、御影さんに視界を遮られたから。
広場が最大限に賑わって、カウント0のとき。
隣から覗き込んだ御影さんが……私にキスをしていた。


