眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす




「じゃあこれ、クリスマスプレゼントです」

「ん、サンキュー」



購入したマフラーを巻いた御影さんが温かそうで、安心する。


といっても外の空気は冷たくて、2人の鼻先を早速赤く染めているけど。


でも冬特有の澄んだ空気は、嫌いじゃない。



「寒そうだから、貸せ」



そう言って掴んだ私の手を、御影さんはぶっきらぼうにポケットに突っ込んだ。


中でぎゅっと握られて、表面は冷えているのに体の芯から熱が込み上げてくる。




「……お前、手冷たすぎ。こうなる前に言えよ」

「言ったらもっと早くしてくれたんですか?」

「隣で凍えられるよりマシだろ」

「……そんな理由」



でも、本心じゃないってわかる。

だってポケットの中の手は、狭い中で一つずつ指が絡められていってる。


あっという間に、恋人繋ぎだ。



「で、どっか行きたいとこある?」

「駅前の巨大ツリーが見たいです!」

「だと思った」



……え?



「じゃあ行こうぜ」



御影さんが歩き出すから、手を繋ぐ私も当然足が進むけど。


まるで私が望む行き先を、知ってるみたいな言い方が気になる。


……巨大ツリーが見たいって、話したことあったかな?