眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす




「でも、どうして急にデートなんですか?」

「別に急じゃねーだろ。クリスマスだし」

「御影さんがクリスマスを意識してるなんて、意外です」

「……まー、たまにはな」



一瞬の沈黙が気になったけど、すぐに意識は別の場所へと移動する。


通学路から脇道に逸れた大通りが、煌びやかな世界に染まっていたから。



「すごい、イルミネーション!」

「こういうの、夜のほうがキレイだろ」

「もう暗くなってきてるし、十分キレイですよ」

「そりゃよかったな」

「うん、よかったです!」

「ふ、どんだけ元気だよ」



勢いのある返事に笑った御影さんの口から、白い息が漏れている。


マフラーをしていないのが寒そうで、私は自分のを外して御影さんに届くよう背伸びをした。



「なに」

「マフラー、貸します」

「は、いらねーし」



首にマフラーを掛けようと思うのに、背の高い御影さんが拒むと上手くできない。