眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす




そんな平和な日々は過ぎ───迎えたクリスマス。


といっても今年のクリスマスは平日だから。


誘われたときと同じように、御影さんが教室まで迎えに来てくれた。


当然、誘われたときと同じように女子たちの黄色い悲鳴を浴びて、


学校を出てやっと、初めての制服デートが始まった。



「よく考えたら初めてですよね」

「なにが」

「こうやって2人で出かけるの」



御影さんとどこかへ行くのなんて、近所のスーパーに食材の買い出しか、白夜の会合くらいしか経験がない。



───デート。


その三文字に、やっぱり期待してしまう。


鬼炎魔の秘密のためじゃなく、もっと特別な想いがあって一緒にいてくれてるんじゃないかって。


私の中の期待は、あの日から日に日に大きくなっていた。