眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす




「なっ……なんで」

「なにが」

「いや、なにがじゃなくて。なんで今キスするんですか」

「したいから」

「……したいからって、承諾もなく、」

「ダメ?」

「や……それ、は」



『ダメ?』って聞き方が御影さんにしては可愛くて、簡単にうろたえる自分が悔しい。


それも見越していたのか、御影さんはニヤリと笑って涼し気な顔。



くっ……負けてたまるか!



「ダ、ダメですよ」

「なんで」

「なんでって……それは……」

「……」

「揚げ物のときは、危ないので!」

「……。」



『あー、まあ確かに』って、御影さんは妙に納得してくれて。


ちゃんとした理由さえあれば、我を通すわけではない。


今更知ったそんな姿に、ちょっと微笑ましくなったりした。