眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす







「なんでわざわざ学校で誘ったんですか。家でいくらでも話せるのに」

「つーかお前、休み時間いつもあんな感じ?」



帰って来た六畳一間で、唐揚げを作る私の横で御影さんがつまみ食いをする。



「あんなって、どんなですか」

「いつも銀と喋ってんのかよ」

「……別に、他の友達と喋ることもありますけど」

「ふーん」

「なんですか」

「オトモダチもできたみたいだし、そろそろ席替え進めるか。センセーに」

「……」



私の質問、どこ行った?



「今の席気に入ってるし、席替えはやめてください。あとつまみ食い、5個は多すぎ!」

「……」



チッと舌打ちをして、御影さんは摘まんだ唐揚げを戻した。



「それで、なんで学校でわざわざ誘ったんですか」

「別に。また銀にからかわれてないか見に行っただけ」

「そんなに何度もからかったりしませんよ、銀くんは」

「へえ」

「……なんですか」

「そもそも銀は、人をからかうような奴じゃねーけど」

「え、でも、」



現に私はからかわれた。


言い返そうと隣を見上げた直後、覗き込む角度でちゅっと唇にキスが触れた。