眠れない総長は眠り姫を甘く惑わす




放課後、1人だと心配だからって、今日も銀くんがアパートの前まで送ってくれた。


じゃあねって手を振り合って、1人きりになったところでドアノブを握る。……まではよかったんだけど。



どんな顔をして入ればいいのかわからない。

そもそも私、勝手に入っていいのかな。


御影さんは、とっくに追い出したつもりでいるのかもしれないのに……。



どうしよう、

顔を合わせたとして、なにを言えば、



「なに突っ立ってんだよ」

「ひゃあ!」



真後ろから聞こえた声に、素っ頓狂(すっとんきょう)な叫びが飛び出た。

だって今の低い声、どう考えても……。



「すげー声」



やっぱり、御影さんだ……



御影さんはガチャっとカギとドアを開け、さっさと中へ入っていく。

ドア先に佇む私なんておかまいなしで、目の前の扉が閉められ───



「なにしてんの、早く入れば」

「え?」



扉が、閉められない。

それどころか、御影さんが押えて待っていてくれてる。


そんなことで泣きそうになって……

涙を隠すように俯いて、中に入った。