『彼女が…あの人に色目を使ったのかも知れないって…そう思ったら許せなくて。助けたかったんじゃない。私の大切な人が他の女にキスして欲しくなかったから…だからとっさに電話した。彼女が逃げてから、2人で話し合ったわ、なぜあんなことしたのかって』


確かに…


好きな人が別の女性とキスしてるのは…見たくない。


それはわかるけど…


『佐々木先生は何と?』


凛音が聞いた。


『…あの人、中島さんのことは何とも思ってないって言った…ただ、お金が欲しかっただけだって。安月給でクタクタになるまで働いて、みんなの面倒を見てるんだからって。でも…あの人がキスしようとした瞬間の光景が頭から離れなくて、もし私がいなかったら…あの人は中島さんを…そう思うと…』


『だから…あなたは…佐々木先生を突き落とした?』


凛音の言葉に、山口先生は…ゆっくりうなづいた。


『自分は全然悪くないって、学校の体質や生徒が悪いんだとか言い出して…私のこと…大切じゃないの?って聞いたら…あの人は…あの人は…』