『赤田様。何か不自由があれば何でも仰って下さい。ご自分のお家だと思って、ゆっくりして下さいね』


良子さんが、優しく声をかけた。


『ありがとうございます。不自由なんてとんでもないです。何もかもが素敵で…お城に迷い込んだみたいです。本当に…こんなにして頂いて嬉しいです』


『菜摘ちゃん。良子さんをお母さんだと思って甘えればいいから。ね、良子さん』


ウインクする湊音さん。


『はい、その通りです。何でも仰って下さい』


湊音さんの言葉に答え、良子さんがニッコリ笑う。


その悩殺的なウインクに、良子さんちょっと照れてるみたいだ。


いくつになっても…やっぱり女性だな。


良子さん、可愛い。


赤田さんも、そんな円城寺の雰囲気にだんだん気持ちが落ち着いてきたのか…楽しそうに笑ってる。


深く傷ついた心、今日は円城寺家のみんなが優しく癒してくれるから…


しっかり甘えて欲しいなって思った。