『ありがとうございます。まだまだ練習不足なので頑張ります。後ほど私達が取材にお答えしますので。では失礼します』


3人は頭を下げてくれた。


すぐに練習が始まり、私達はそれを静かに見守った。


周りを注意深く観察し、何か小さなヒントが無いか…真剣に見つめる凛音の横顔。


鼻から口の辺りのラインが美しくて、思わず仕事を忘れて見入ってしまいそうになる。


私は、いつもこうして凛音に「ハッ」とさせられるんだ。


いや、私が勝手にドキドキしてるだけか…


新聞記者として写真も撮り、一通り見学して、演劇部の練習は終わった。


部員達は、どんどん部室から出て行った。


今からまだ塾だったり、みんな様々な理由で家路を急いでいた。


広い部室に残ったのは、凛音と私、赤田さん、小川君、中島さん…の3人。


佐々木先生は、用事で先に職員室に戻った。


『お疲れ様でした。本当に皆さん一生懸命で驚きました』