伸びてきた手から逃げるように、キャロルはバスケットを体のかげに隠した。

「欲しいのなら、交換条件をのんでいただかなくては。このナッツをあなたに差し上げる代わりに、レオン様がお好きな相手方の名前を教えてくださいませ」
「それは――」

 いよいよ、レオンの恋人の名が聞けそうになって、キャロルは緊張した。
 おじいさんの言葉の先を待つが、タメが長い。

 じっと待つ。
 けれど、おじいさんは、うんともすんとも言わない。

 待つ。待つ。待つ……。
 そのうちに疲れてしまって、キャロルは音を上げた。