「――これで、手を打っていただけませんか?」

 キャロルは、ほの暗く寒い石造りの地下室で、籐のバスケットに掛けたチェック柄の布をめくった。中には、殻つきのナッツがこんもりと入れられている。
 地下室に保管された、数々の素晴らしいワインにぴったりの品だ。

 ワイン庫の管理人であるおじいさんは、頬に寄った皺を深めて笑った。

「ほほう、それは南方で採れる貝殻ナッツじゃな。市場にはあまり出回らない高級品じゃ。山のように手に入れるとは、さすがはシザーリオ公爵令嬢。どれ、ひとつ味見を」
「いけませんわ」