「レオン様? どうかなさいまして?」
「仕事に戻らなくてはいけないから、やる気を補給していこうと思って」

 キャロルのお腹に腕を回したレオンは、レースを施したドレスの肩に顔をうずめて、甘い息を吐いた。

「いつもキャロルを抱きしめていられたらいいのに……」
「わたくしを抱っこすると、そんなにやる気が出てきますの?」
「そうだよ。だから、遠くには行かないでね」
「かしこまりました。本日は、お城の中だけにいたします」

 ちょっとだけ不満そうな返事を聞いたレオンはクスリと笑って、それからしばらくキャロルを離してくれなかった。