「わたくし、脱走なんていたしませんわ。ちょっと町へお散歩に行くだけです」
「散歩は城の庭でしなさい」
「では、ちょっとお買い物に」
「商人を城に呼んであげるよ」
「……お花摘みに」
「キャロル」

 たしなめられて、キャロルは頬を膨らませた。

「だって! 凶悪犯にでもなったような扱いなんですもの。お兄様もレオン様も、どうしてわたくしを信用してくださらないのです!」